今月デビューで全国で白星を量産している115期ルーキー。その頂点に君臨するのが在校1位の坂井洋(24=栃木、写真)だ。その逸材をデビュー戦の取手、2戦目の函館ミッドナイトで取材した。
1㍍71のスラリとした体形。パワーは感じられないが、爆発的な瞬発力でレースを支配。冷静沈着で想定外の流れにも難なく対応できる。危なげなくデビュー6連勝を達成。次回出走予定のホームバンクの宇都宮(8月9~11日)であっさり特別昇班を決める。それどころか18連勝で一気にS級に駆け上がっても不思議ではない。それだけの能力がある〝本物〟だ。
中学2年生の時に宇都宮競輪場でレースを観戦。凄いスピードでバンクを駆け抜ける姿に魅了された。「ママチャリでは誰にも負けないくらい速く走る自信はあった。どうしたらあんなスピードを出せるのか。自分も頑張ればできるかもしれないと」。知人に相談し自転車競技の名門・作新学院へ。その後は日大に進学。「高校では2位が最高でタイトルを獲ることができなかった。大学でタイトルを獲ってからでも遅くない」。有言実行で17年の全日本大学対抗選手権自転車競技大会でスプリントとチームスプリントで2冠を達成した。当然、ナショナルチームにも誘われているが「今は競輪でしっかり下地をつくってからと考えている。5年後のパリ五輪で代表入りが目標」と将来への設計図もきちんとしている。
函館バンクは「地元の宇都宮と似ていて路面が滑らかで走りやすい。相性はいいと思います」。函館では新山響平(デビュー387日)、南潤(298日)が最速でGⅢVを達成。坂井には記録更新の期待を懸けたい。
♤狩谷 牧生(かりや・まきお)1964年(昭39)4月11日生まれ、神奈川県出身の55歳。88年4月スポニチ入社。92年1月にレース部へ異動。1年間の競輪取材の後、中央競馬担当に。2013年、21年ぶりに競輪の現場に復帰。ミッドナイト競輪では初めて会う西日本の選手を取材して新鮮な刺激を受けている。
【記者コラム】新星・坂井 デビュー最速GⅢVなるか
2019/7/25